ラウンドテーブル申込書と進行構成案
1.ラウンドテーブル申込書
1)申込者の名前・所属・メールアドレス・確実に繋がる電話番号
西本裕輝 琉球大学 hirokin@lab.u-ryukyu.ac.jp 09074487162
2)コーディネーター(会員のみ)の名前・所属
西本裕輝 琉球大学 望月重信 明治学院大学(名) 馬居政幸 静岡大学(名)
3)司会者(会員のみ)の名前・所属
西本裕輝 琉球大学 馬居政幸 静岡大学(名)
4)提案者
多賀 太 関西大学(教授) 藤田由美子 福岡大学(教授)
米津英郎 富士宮市立東小学校(校長)
5)討論者
角替弘規 静岡県立大学(教授) 遠藤宏美 宮崎大学(准教授)
濱田 純 秋田大学(客員教授)
6)テーマ
コロナ禍で顕在化した学校と家族の脆弱性を活かす
―DⅩとDiversityの相補性再構築の視座から―
上記テーマとともに申込書に記載した下記上段の【内容】は、最下段【内容案1】?中下段「内容案2」の順に、コーディネーター3人による論議を経て作成しました。副題の補論として確認ください
コロナ禍が顕在化させた公立学校の脆弱性の代表とされるオンライン学習の要請に応じて、2021年4月、全国の公立小中学校で一人1台配布されたPCを用いた授業と家庭学習が始まり、教員はPC活用力、保護者は支援力が求められる。だが、コロナ休校は母親の就労で日本社会の日常が維持されることを顕在化させた。緊急事態宣言下の休職、離職、再就職の難しさが貧困世帯の増加に結び、リモートワークの拡大が家庭に新たなトラブルをもたらす。学校教育デジタル化と保護者支援力の現実を問うことにより、日本社会のDX(Digital Transformation)とDiversityの相補性再構築への論議を試みたい。(260文字)
【内容案2】青文字の文節等の再考察により、上段260文字を3人の合意による【内容】とした。
コロナ禍が顕在化させた公立学校の脆弱性の代表とされるオンライン学習不可の解決を目的に、2021年4月、全国全ての公立小中学校で一人1台PC(端末)が配布され、日々の授業と家庭学習での活用が始まり、教員はPC活用力、保護者は支援力が求められる。他方、コロナ休校は、母親の就労によって日本社会の日常が維持されていることを顕在化させた。緊急事態宣言下の休職、離職、再就職の難しさが貧困世帯の増加に結び、リモートワークの拡大が家庭に新たなトラブルをもたらす。学校教育デジタル化方策と保護者の日常のRealityを問うことにより、日本社会のDX(Digital Transformation)とDiversityの相殺性を相補性に再構築するための課題の開示に挑みたい。それは学力格差と経済格差のリンクのイデオロギー性とペアレントクラシーの虚実を問う試みでもある。(337文字)
【内容案1】馬居による484文字の【内容案1】を対象に、望月と西本との3人合議により、紫文字の文節等の再検討により、中段337文字【内容案2】を作成。
コロナ禍が顕在化させた公立学校の脆弱性の代表とされるオンライン学習不可の解決を目的に、2020年4月をスタートに、全国全ての公立小中学校の教室に、クラスの子どもたちの数(一人1台)のタブレット型PC(端末)が入った充電器保管庫が設置されました。休校時だけでなく、日常の授業での活用が求められます。家庭での学習にも有効とされています。その結果、学校と教師のPCの活用力が問われます。同時に、保護者の協力が求められます。
他方、コロナ休校は母親の就労によって、日本社会の日常が維持されることを顕在化させました。緊急事態宣言下における休職、離職、再就職の難しさが、貧困世帯の増加をもたらしました。リモートワークの拡大が、新たなトラブルを生む原因にもなっています。
子どもたちのオンライン学習と保護者のリモートワークは、家庭が教室と職場に代わることになります。この変化に応じて、日本の平均的な家屋の間取り(広さ)と家族の日常生活(棲み分け)を再構成することは可能でしょうか。
学力格差と経済格差をリンクさせる一方で、ペアレントクラシーの成立を語る論者の目に日本家族のRealityが見えているでしょうか。(484文字)
2.「テーマ」と「内容」の提案の準備段階での考察メモ(作成日順)
21年3月9日??
○学校のオンライン化の未来に何が見えるか
・学習指導要領(履修主義)の虚実皮膜化??コロナ休校期間の学習支援(家庭学習指導、学校教室活用、オンライン学習)を履修時間とみなさず、休校後に履修時間数合わせのための補修授業の無理強い
・GIGAスクール前倒しの虚実による新たな負荷??公立小中学校在籍者上位2割を対象に準備された学校と教室での学習活動の質の向上(これも虚実皮膜だが)のストーリーがなし崩し配布(一人一台端末)に
?リアル授業とオンライン授業の差異、公立小中学校の日常の平均的なリアル授業とデジタル機器の相補性(相反性)の可否と有無と是非の検証なく天の声に。
・家庭による差異を家庭の経済力の差異に還元する格差論が語られるが、そのこと自体が女性の性別役割分担の強化として機能することを無視?経済格差と学力格差をリンクさせる論理のイデオロギー性
・コロナ禍による貧困拡大と年収下位層家族の教育力低さのリンクを自明視する学習観のフェイク性
・学力調査(特定学年の特定教科の数値による一元的序列化可能領域のみ)の結果を明確に定義することなく「学力」という概念の基準とみる論理構成の甘さと実証データなき学力論の浅さ
○子どもの貧困、家族の教育力、学校教育への協力度、ひとり親、両働、保護者の職業の多様化・・・
?暗黙の強制として母の就労を牽制する。
・経済格差??ペアレントクラシー??専業主婦を学力向上の基準にすることを意味しないか。
・専業主婦を3号被保険者?公的年金制度において基礎年金とされる国民年金と社会保険を免除する制度がダイバーシティを妨げることを問題提起しないのはなぜ?
・非正規を求める労働力の流動化に対し、同一労働同一賃金は裁判と政治の課題になるが、公的健康保険度の差別制度化(個人事業主の位置づけで労使折半制度適用不可)が問題視されないのはなぜ
・国民生活基本調査を子どもの貧困率析出に基礎データに用いることの不合理を問ないのはなぜ?
?世帯年収の集計に財務省のデータを活用できない不合理を
・シングルマザーを特定できない理由への問いが生まれないのは問ないのはなぜ?
・母の就労を保育に欠ける(保育を必要)、父不在を不幸な家族とする不合理問ないのはなぜ?
・偏見を批判する側も、福祉の概念を介すること自体で、偏見を内在化していないか
○DXの矛盾
・大学は対面復活を求め、小中高はオンラインを求める奇妙さ
・オンラインでリアル授業を代替可能とするエビデンスは?
・リアル授業のデジタル化が学力向上に役立つか?
21年3月14日??
○フジプライムニュース?韓国との対比で、ワクチン遅れが問題に
・自国生産できないのは民と軍の関係の問題に?戦時体制国の軍民融合・ICTの問題への言及を
・ワクチンは戦略物資?中国のワクチン外交、世界の公共財に、アジア、アフリカ、南米
○感染病無防備システムへの問いを省みることなく韓国が早い理由を問うことの誤謬への恐れを
・自前の生産体制?軍と一体化した接種体制?与党の選挙対策?デジタル化?国家による国民の統制
★日本は、医療の現場を直接統治できない・・・実は学校教育に対して
?国、省庁、都道府県、政令市、特別区、市町村、システムとして分散、世論形成は集団の規制、
★格差と差別と差異?格差論に潜在する差別意識
?学力の高低と家族の経済力の高低をリンク付けて、社会的成功可能性の尺度とみなす論の社会機能
?貧困を社会的上昇不可の社会的原因?貧しさをフィルターにした、差別の対象に
?年収の多寡で社会的位置の上下を規定?社会的上昇に人の価値の基準をおくフェイク性の隠蔽
21年3月17日、20日??
○学校教育デジタル化の現実?GIGAとICTは語られるが、DXの視点見出せない
?教育機器と見ることへの功罪
?デジタル機器の使用の優位性?デジタル機器使用の良し悪し?プラス面、マイナス面
?授業、活動、宿題、練習 & 子ども理解、個々の特性、他者との関係、深まり
?個人化と共有化、認知と非認知・・・デジタル化に変化、効果、弊害?
○学校の正しさを前提に組み立てる論の危うさ
?財の分配と再分配システム、行為の評価システム、その不公正の基準への問いこそ必要なはず
・弱者を炙り出すことで、日常の安心を確保する社会的機能
・弱者ではないことを確認する制度としての弱者の仮装
・相対的貧困率が貧困者の再定義による新たな差別の基準に転換
・子ども食堂の豊かさと塾通いの孤食の貧しさを問う視座の喪失・・・・貧しさのRealityへの問いを
★ペアレントクラシーのラベルで周縁の差別化?格差のラベルで周縁からの問題開示の潜在力を排除
21年3月21日??
○中研シンポジウム視聴感想
・何を教えるか、なし?教育内容の論議なき教育論
★個別化、個性化、最適化、自己調整、自分にとっての最適化
?寺子屋の個別と公教育の個別化は異なる
?集団学習、国民教育、鍛錬、集団への帰属?個別化ではなく個人化への視座の転換を
★協働と共同の境を曖昧に?全て言葉の入れ替え
?主体的、対話的、深い学び?集団への帰属、同調、内在化
・集団の学、社会性、リアルな人の姿が見えない?顔と生きる場が透明な学びの人形、学ぶ姿の線画
?大正自由教育、寺子屋、AIを同列に置いての議論?新しいものと見ない?教育方法論の落とし穴?
21年3月30日??
○日経一面記事が示唆する問題、政治の次元のリアリティ
★ 飲食・宿泊、6割が支出超過 ★日米、「台湾海峡」明記へ ★ 米アプライド、旧日立系買収を断念 ★ 三井住友カード、中小の決済手数料下げ ★ スエズ座礁船、離礁に成功
○エビデンスの問題点
・ⅰ調査によって現れる結果、ⅱその結果をもたらす制度的要件、ⅲ事前の仮説自体に含まれる社会的条件の再定義なきエビデンス観の危うさ、ⅳ政策決定、効果を測定するエビデンス観の危うさ
○デジタル化の必要性
?タブレットが配布された理由?PCを授業で必要か?全ての子どもに必要か
・検索の範囲?操作技術の学習方法?デジタル教科書の必要性?家庭学習の状況
○時代と社会を見る目の在り方
?DX ? 情報、時間と空間の縮小??消失??ヒト、モノ、コトの 多様 & 多元 & 可変化
? Diversity?人と人の間の関係の流動化
?Carbon neutral & zero Carbon??地球環境、sustainable(持続可能性)
?民主主義と先制国家:世界の覇権、米中対立、新冷戦
21年4月1日 21年4月3日??
○男女:3号被保険者、政治と経済はあっても福祉、保険、給与の連動なし
?教育格差と世帯収入、ペアレントクラシーは述べても、専業主婦の存在、女性の就労は述べない
?学力差強調、デジタル学習の実を論じない
〇?パスク、70歳、金融、DX、Diversity、民主対専制、Carbon neutral
★一人の声、一人ひとりの声??その仕組みの再構築
★ポストコロナ、ソサエティ5.0??高度成長期の社会制度からの離脱??100年安心からの決別
★フリーランス→?マイナカード、健康保険証?後期高齢者医療費
21年4月9日?? (4月11日開催予定3人研究会の準備1)
○格差と差異と差別の再定義、分別の基準を
・格差と平等(機会と結果)と多様(個性、障害、ハンディ・・)の判別式を
・批判と同意、同情と目線の上下、不満の吐口、主体が見えない
・虚構の安心、安全、
○現場の現実、学校の実情への理解が必要だが・・その先に見えるのは・・・?
・電気とWi-Fiの容量を想定できな・・・準備不足では済まされない能力と意欲の現実!
??一人一台PCに必要なハードを誰も予見できず
??教員の側で意欲も準備もなく、その意義の理解も進まず
??保護者への情報提供、協力の依頼、保護者における準備教育・・皆無では?
??学童保育の現状・・・宿題時間の容認はあるが・・・
??専門業者の理解、意図、指導可能範囲??機器操作の範囲を出ることは?
??教育行政??旧来の学校数台の世界の延長?専門家以前の必要性への認識不在?
??GIGAスクールの霞ヶ関的カスミの産物(予算獲得のフィクション)では!
21年4月11日?? (4月11日開催予定3人研究会の準備2)
○学校現場の状況
・悪い意味で予想通り?教員にとってデジタル化は余計なこと
?管理職にとっては、言われたから受け入れるけど
・旧来の教育機器の一つ?これまでのPC、電子黒板、プロジェクター、DVD機器と同じ
・できる人が使えばよい・・・・騒がられるのは最初だけ
○オンライン学習から入ったことが不幸のもと
・GIGAスクールは経産省の事業?2割の子どもが対象
・文科省は手を挙げた学校のみを対象に?デジタル化の弊害のほうが関心ごと
・学校教育三要素の知、徳、体の統制可能は徳と体・・・忖度、空気、集団への帰属
・学区制と学習指導要領の制約?異なる対象(多種多様、多元可変)を一つに見立てる
◎やるべきとことより出来ること
?文科省も含めて、すべての子どもが一斉にPCとインターネットを使用することが可能なインフラを想定できない愚かさの見本市になりかねない現実・・・?
?統制すること、されること、みんな一緒に並ぶこと以外の選択肢を隠したことを忘れた日本社会(政治と行政、報道と世論、識見と評論の、
○一人一人が異なる人生を歩む(ざるを得ない)現実への対峙からの忌避、逃避、無視・・
?その対処を新自由主義と個人主義と空気を読まない、とのラベルを貼って、現状を否定する論理とエビデンスにすり替える知の怠惰・・・
○女性の能力、活躍、昇進、登用、120番目の尺度のまやかし
・専業主婦の選択肢が、男女を問わず、個々の自立を妨げる社会的道具に
・学校教育の目的、学力の構成要素の中に、人間の再生産の項目が入っていない
?Society 5.0に人の社会の再生産の項目は消滅
○学校教育と対峙する家族のあり方の位置付け
・女性の就労、男性の就労、子どもの養育、人としての自立
・親の再生産の機能はどこに・・・・一夫一婦制の学習も
・ライラサイクル、人の生きる条件の学習は学力に含まれず
21年4月12日?? 21年4月13日??
★ フリーランスの納税者番号
・税が個人単位ではなく、事業所と世帯単位にしか把握していない(できない)ことの顕在化
・女性の社会的自立、個人化を妨げる法制度と社会的慣習の視覚化
・政治と経済の位階システムでの位置を競う場での対策では問題は見えてこない
・ダイバーシティの刃が向かう領域の範囲と深さを問い直す
・男女の依存関係、相補性と相殺性の境界なき開示への対峙を
・個人化を土台にした男女の相補性、相関主義の視点からの問い
・周縁の潜在力への視点を失う社会論の空理性、フィクションからフェイクへ、そしてフールに
21年4月13日
◆朝日新聞朝刊一面:厚労省ヤングケアラー全国調査結果の報道記事への違和感
先輩から届いた上記記事の感想を求めるメールへの返信(私信)から
・中学校が義務化されていない社会では、当然ありうることです。
・問題の根は、家族の世話、看護、介護を一人の女性の責任とすることを当然視することで豊かさを獲得したとする、日本の社会システムの合理性と正当性の揺らぎに対処するセンスを失った政治、経済、教育、そして研究のあり方にあることを指摘できない全国紙的正義感にあるのでは・・・・。
・夫婦共稼ぎで有れば、またシングルで子育てを、との家庭では、当然生じうることです。
・三世代同居の家族において、中高生の年齢になれば、祖父母の介護を担うことを期待され、家族の生計を担うことも可能とされる社会もあります。それをケアラーとみなすことの問題は、国民生活基本調査の児童を貧困児童の基礎データとすること同様の問題を含んでいると考えます。
・実生活と離れた、知的領域の記号(言語中心:文字、数字)操作速度を競う学習を、成人と同等(とみなす社会もある)の位置に入った男女全てに強いる異様さに気づくべきでは!
・問うべきは、家族内福祉を母と言う一人の女性の役割(戦後家族)としてきた法制度、社会意識、生活慣習、常識の世界を当然視する社会システムの制度疲労(耐用年数を超える?制度設計の前提にある社会的条件の喪失)にあること。
・ヤングケアラーへの注目(異様視)自体をシステム崩壊のカラータイマーとみなせるかどうか。
・私的領域を超える公的社会保障システム(税と公的保険)の役割(緊急対処と再構築)とすることのコンセンサスの獲得と制度設計が喫緊の課題であることへの同意と負担を覚悟すること。
・児童虐待、DVも含めて、既存制度(小中高の教員、児童相談所、民生委員など)の目的外指導に解決の処方を求めるのではなく、公的専門職としてのソーシャルワーカーの法制度化と予算化の必要性の報道こそ、全国紙の役割では。
学校教育デジタル化の支援を保護者に求めたうえで、家庭内のデジタル環境の差異を子どもの学力格差の原因として問題視する世論形成(母親の役割の強化・Diversityの判断軸不在)と構造的に重なるのでは。ラウンドテーブルのテーマでの論議の課題との連動性の視座から、ヤングケアラーの問題視の根を掘り起こすことの必要性を強調しておきます。
2021年5月15日