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調査研究の部屋

生きる場の今と未来を問うことから

生活科・総合的学習の原点から問い直す

原点から問い直す生活科と総合的学習・探求の課題と可能性

原点から問い直す生活科と
総合的学習・探求
の課題と可能性

はじめに:サイト設置の意図

 本サイトは、当初、『現代の教育課題を読み解く』研究報告№103 (中央教育研究所 2024年12月25日発行)掲載の下記拙稿(4章、5章)のWeb加筆版を作成する作業のために、馬居教育調査研究所(UER-Labo: https://www.uer-labo.jp/)内に設置した非公開のWebサイトでした。本文引用や注に記述する文献・資料等を整序・ストックするためにWeb上の操作空間を確保することが目的でした。

 『現代の教育課題を読み解く』研究報告№103 公益財団法人中央教育研究所
   第4章 コロナ危機と1人1台PCが問う日本の公教育の優位性と脆弱性
   第5章「総合的な学習・探究の時間」が挑む公教育再構築の課題と可能性
       ―静岡県立大学教職専門科目受講学生の活動に学ぶ―

しかし、第4章(理論)と第5章(実践)のWeb版作成のために試行錯誤を重ねることで、このような作業過程と考察結果を結ぶ「今と未来」への課題を広く提示する公開サイト設置への構想がうまれました。さらに、二つの章を関連付けての加筆修正作業を繰り返した結果、4章も含めた考察の結果を集約した第5章末尾の「注(18)」の構成と記述内容を起点に、独立版公開サイトを新たに開設することを構想しました。

 ただし、それはあくまでWeb加筆版完成後のことです。

 第一段階として、上記研究報№103の4章と5章に即して、生活科誕生期の実践記録の紹介という第5章注(18)の役割にそっての加筆修正として、「原点から問い直す生活科と総合的学習・探求の可能性

新設公開版サイトの設置を背㏄っ日として、については、本稿との関連を視野において、90年代生活科誕生期の実践記録の編集と本稿の目的に即した総合的学習・探求を含めての課題と可能性を問う3種のテーマにより拙稿をストックした下記サイトを開設した。参照いただきたい。

 

web加筆版においても、新サイトの表題の意図(コンセプト)に積極的かつリアルに応じるために、以下に示すように、「ⅰ論争編」、「ⅱ実践編」、「ⅲ構想編」との言葉を3種のテーマに冠することにより、開示する知の領域の明証性のレベルを高めることを試みる。

  ⅰ論争編:「原点から問い直す生活科の未来(1)」(以下、論争編と略す)

  ⅱ実践編:「原点から問い直す生活科の未来(2)」(以下、実践編と略す)

  ⅲ構想編:「生活科と総合的な学習・探求の原点が問い求める

          “学校”“子ども”“社会”のリアル」(以下、構想編と略す)

 論争編は、生活科が誕生した1989年の8月発行『授業研究 臨時増刊』№342(明治図書)に掲載された拙稿「雑誌文献にみられる『生活科』論のトレンド分析」(以下、「トレンド分析」と略す)を対象に、本文の加筆修正作業を行い、資料編・文献目録の再編作業を加えて、2014年3月発行の『静岡大学教育学部研究報告(人文・社会・自然科学篇)』第64号に掲載された学術論考である。

 実践編も同様に、2014年3月『静岡大学教育学部研究報告(教科教育学篇)』第45号掲載の学術論考だが、執筆の経緯と目的が異なる。

生活科は1989年3月告示の小学校学習指導要領による新設教科だが、実は激しく対立する評価(論争)のなかでの設置であった。その賛否両論に分け入ってまとめた雑誌原稿を“素材”に、20年以上の時を経て、2013年に研究論考として再構成したのが論争編である。

 他方、私は上記「トレンド分析」の執筆で生活科への理解と共感を培えたことにより、全国の教室で展開される生活科実践の場に積極的に参加し、リアルタイムで複数の月間教育誌(90年代)に長短・硬軟様々な表現様式で寄稿する機会(立場と評価)を得た。この私的ではあるが初期生活科実践の証言録から9本選び、論争編執筆と同時進行で生活科実践の原点とその未来志向性を明らかにするstory構成を試みたのが実践編である。だがいずれもコロナ禍も1人1台もない10年前のリアルに対峙する思考。しかも加筆修正・再編の素材は、「総合的な学習の時間」ではなく1989年生活科新設の時空での論争と実践に基づく作品である。この制約条件を超える工夫を三つ施した。

 一つは、2024年執筆の本研究報告№103の4章と5章の視座から、2013年執筆の論争編実践編に付した「はじめに」の加筆修正を行うこと。

 二つは、生活科の原点を小中の総合的な学習の時間へと繋ぎ広げ、高校の探求によって結ぶ論理と実践を問うことへの寄与を基準に、「ア)原点への問い」➡「イ)今を知るために」➡「ウ)未来のリアルへの対峙を」との三種の時空のリアルに対峙する視座により、90年代以降の拙稿から選別・配置する構想編を新たに設けること。

 三つは、第5章注(13)の枠を超えた新サイト原点から問い直す生活科と総合的学習・探求の課題と可能性を馬居教育調査研究所UER-Laboに開設することである。

ⅰ  論争編 : 原点から問い直す生活科の未来(1)
 『静岡大学教育学部研究報告(人文・社会・自然科学篇)』第64号 2014年3月 

 
生活科は1989年3月に告示された小学校学習指導要領において誕生しました。この新学習指導要領にリンクする“新しい指導要録”の報道に起因する“新しい学力観”というキーコンセプトの広がりとともに、生活科は90年代前半の教育改革をリードする位置を得ました。そして、1998年12月改訂の学習指導要領で新設された「総合的な学習の時間」により、生活科が求めた活動中心の授業のあり方が小・中・高の全ての学年で実施されるかに思えました。しかしこの改訂は学力低下への危惧を教育の外の世界に広げました。そして、脱学校論の日本版ともみなせる(私見)「ゆとり」という概念が、学校教育(学力低下)批判の元凶とされる流行語に転換(誤用≒悪用)する契機になりました。
 ところで、私は89年版学習指導要領告示直後の生活科設置準備期である1989年1月から89年3月にかけて、教育雑誌に掲載されたほぼ全ての生活科をめぐる論考(論争)を調査・分析し、その結果を発表する機会を得ました。それが明治図書の『授業研究臨時増刊』№342(1989年8月)に掲載された「雑誌文献にみられる『生活科』論のトレンド分析」です。
 本誌は「『生活科の授業』をどうつくるか」との書名により、1988年12月4日に東京都中央区立城東小学校において開催されたシンポジウム「『生活科の授業』をどう創るか」の記録集として出版されました。シンポジウムの主催は、当時筑波大学助教授の谷川彰英先生が代表をつとめる「連続セミナー・授業を創る」でした。谷川先生は生活科が全国の小学校で実践される過程で最も大きな役割をはたした研究者です。そのスタートがこのシンポジウムでした。残念ながら、私はこの時期、生活科に関心がなく、シンポジウムの開催を知りませんでした。
 ところが、シンポジウムの記録を公刊するにあたり、大学院時代の先輩であった谷川先生から雑誌掲載の生活科論の分析を依頼されました。尊敬する先輩からの要請として断る選択肢はなく、その意義を自覚することなく引き受けました。にもかかわらず、収集・分析した賛否双方の生活科論が、生活科に託された新たな授業づくりとの出会いの書(論と実)となりました。同時に、期待と不安が交錯するなかで、手さぐりで積み上げられる全国の先生方と子どもたちの活動が、私の学力論の原点になりました。
  その後10年を経て迎えた新たな世紀も、四半世紀を超える年月を重ねることになりました。この間に、生活科誕生期に描かれた新たな学力への夢は消え、全国学力・学習状況調査の結果(数値)が学力高低の判断軸に位置付けられ、格差是正の名分とともに学力論の主流を占めるかに見えます。しかしその論議に、未来を生きる子どもたちに必要な学力と確証するエビデンスを、私は見出すことはできません。
 そのため、改めて生活科をめぐる論議を問い直し、誕生期の生活科が描いた未来の可能性をフィルターに、だれも経験したことのない時代と社会を担わなければならない現在の学校教育に学ぶ子どもたちにとっての学びの対象(なにを)、方法(どのように)、評価(みにつける)を問う歩みを進めたいと思います。
 そのスタートとして、1989年執筆の「雑誌文献にみられる『生活科』論のトレンド分析」にまで遡り、5種のテーマにわけて、興味関心のある方に活用いただけるようにサイトを作成しました。

 生活科はいつ、どこで、どんな人により論じられたか
 2教科の立場からの論点は
 3生活科論の課題
 4文献調査の方法・「生活科」に関する文献目録

 

ⅱ 実践編: 原点から問い直す生活科の未来(2)
『静岡大学教育学部研究報告(教科教育学篇)』第45号 2013年3月 
(上記拙稿と同様の意図により、「はじめに」と構成(目次:大項目)を案
内します。)
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 学習指導要領が告示されたあと、全国の研究校で生活科の授業が公開され、かつてない 数の教師が参観した。そして戸惑った。元気だが意味を読み取れない子どもたちの多種多 様な動き、次々と子どもに声をかけるが教えることを放棄したかに見える教師の姿に。生 活科実践への歩みは「授業の見方」を変えることから始まった。学習指導要領告示から2 年目の1991年秋、「生活科の授業を見る『ものさし』」との『生活科授業研究』編集部の求 めに応じて寄稿したのが本章の「第1節 生活科にふさわしい『授業の見方』とは」であ る。さらに全ての小学校で生活科を実施しなければならない新学期が近づくにしたがい、 管理職の立場の教師から、生活科の説明の仕方を求められるようになった。授業者なら生 活科授業実践に参加してもらえばいい。だが、「説明の仕方」となれば“新たな言葉”が必 要になる。管理職が主たる読者の『学校運営研究』編集部の依頼により、生活科全面実施 直前の1992年2月号に寄稿したのが「第2節 生活科実践の基本用語」である。 ここにあげた教育誌はともに生活科に希望を見出す編集長によって教室で生じる新たな課題に応える論議が毎月リ掲載された。その意味で、本サイトの目的は、 生活科誕生期90年代の拙稿の再考察の作業を、今と未来を生きる子どもたちへの教育課題 を問い直す試みに重ねることだが、それは教育ジャーナリズムが果たした 役割の再評価につながるであろう。

     第1章 全面実施前夜では
   第2章 実践化の過程で

   第3章 実践を問い直す

   上記拙稿にて紹介・活用した拙稿初出一覧
“言葉=文字”から“場面=絵”へ
    ―生活科にふさわしい「授業の見方」とは―」

    『生活科授業研究』1991年10-11月号 明治図書            12~13
「生活科実践の基本用語」
    『学校運営研究』1992年2月号 明治図書                   126~131
「生活科の未来”を考える ―都市型生活科確立の可能性はあるか―」
    『生活科授業研究』1993年8月号 明治図書                    14~15
「生活言語飛び交う本物の世界を
     
―『意欲』『持続』『工夫』『表現』『協力』はどんなところに現れるか
     『生活科授業研究』1993年10月号 明治図書                 14~17
「子どもの物の見方・考え方 見直しの課題
  -平成6年 生活科研究の焦点はここだ!―」

    『生活科授業研究』1994年3月号 明治図書                  16~17
「表現できない世界の豊かさを読み取り意味づける能力を」
   『せいかつか』日本生活科教育学会    創刊号( 1994年 )
                                                      初教出版          65~67   

「新しい学力観で子どもの見方を変える」
     『総合教育技術』1994年11月号 小学館                    20~23頁 
・「改めて生活科の地域での活動の価値を問いなおす
      『初等理科教育』1996年8月号 初教出版       70~73
「地域の実態を生かす教育課程の編成」
      『教職研修増刊号』1998年1月号  教育開発研究所       45~49

ⅲ 構想編:生活科と総合的な学習・探求の原点が
    問い求める「学校」「
子ども」「社会」のリアル

ア)原点への問い
1.  第2章  新しい子どものとらえ方・生かし方
                                             (社会学の立場から

  『新学力観のため評価と指導1評価で子どもを育てる』所収
      藤岡完治・北俊夫共編著 ぎょうせい  1997年5月       44~53
2.  第4章  新学力観で学校が変わる
    『シリーズ・現代の教育課題に挑む1新しい学力観』所収
         下村哲夫 編 ぎょうせい 1996年4月                        88~131
3.   「楽しい学校」―
21世紀の学校像を求めて-  
    「楽しい学校研究会」編(代表 馬居政幸)
  『学校経営1月号臨時増刊』第一法規 1998年3月            1~239頁 
   第1章 新しい時代の「楽しい学校」とは?     
    1.
「楽しさ」をキーコンセプトとした学校の自己改革
      ―「市場競争力」を求められる時代に向けて―
      (研究会代表として馬居が執筆)        9~21
   第2章 「楽しい学校」はどうすれば可能か
     1.「揃える教育」から「違える教育」へ   
     鼎談 中野重人/有村久治・馬居政幸              79~87
    5.
 子どもの実情をふまえフレキシフルな運営を
              鼎談 藤田英典/西坂  昇・馬居政幸              113~122

    6. 市民的共感をベースに下からの教育改革を
    
鼎談 深谷昌志/澤野由紀子・馬居政幸         123~131

イ)今を知るために 

1.マンガが育てる“根性”
        『児童心理』№680   金子書房    1997年7月                  35~40頁

2.  第5章 消費社会の子どもたちのゆくえー『子ども文化』の変容―
   『迷走する時代と子どもたち』谷川彰英  無藤  隆  門脇厚司  編著 
        東京書籍 2000年3月                200~287

3.  学校の生活時間を見直す
  『児童心理』№838 金子書房 2006年3月        26~31
4. 「命の大切さ」を育む教育のための三つのステップ
  『教師の広場』№176 静岡県出版文化会   2013年6月    8~11
5.   今、人気を誇る「ONE PIECE」の魅力
 『児童心理』金子書房 2016年12月号                                52~58
6.  特撮怪獣ブームがもたらしたものは
 『児童心理  子ども問題の70年』金子書房  2017年12月号   42~47

7 メディア作品に見る教師像
     『児童心理』金子書房 2019年3月号                           100~104
8
 他国との関係から考える「近現代史と政治」授業化のポイント
  社会科教育』明治図書 2019年9月                             50~53頁 
テレビドラマが描く教師像の変遷にみる学校教育の虚実



ウ)未来のリアルへの対峙を
 1-1 未来社会につなぐ! 現代社会の課題と社会科授業デザイン
A5版のコメント1頁とイラスト1頁をA4判1頁に左右並置)
 ※A5版連載誌各号第1頁に12種の連載テーマに即したコメントを執筆。
 右に開いた表紙裏(A5)に、テーマに関係するデータとイラスト を描く。
 左頁コメント文字表現の濃さと右頁データを細微化のために 
   1-2:A5版コメントとA5版イラストをA4版に拡大し編集
      1-3:A4版拡大コメントのみ編集
      1-3:A4版拡大イラストのみ 編集 
  『社会科教育』明治図書  2016 年4月号~2017 年3月号

( 連載1~12回)  左右 2頁×12回➡24頁   
2.  子どもの現実 ― 超少子社会を生きる男女の自立への道を
           拓き開くために―

  『考える子ども』№407  社会科初志をつらぬく会   
         
                      個を育てる教師のつどい   2021年7月    4~15頁
3. 第2章   人口減少と学校教育
  『人口減少問題と学校教育』 研究報告№90 
     中央教育研究所
  2017年6月                                  
14~44
4.   第7章
 教科からみる高校教育改革の課題               76~93

     補論  新学習指導要領が描く授業者の情景          94~99 
  『高校教員の教育観とこれからの高校教育』研究報告№92 
              中央教育研究所  2018年12月

5.   人口減少による地域と社会の変化と学校教育の課題と可能性
    〜カリキュラム・マネジメントの潜在力を拓く
       『人口減少問題と教育実践』研究報告№95  
                 中央教育研究所  2019年9月            4~21

6.   第5章 「 1人1台」(PCタブレット≠端末)による
                           公立小学校の脆弱性の顕在化
        54~67
      コラム8 学校教育DXの課題と可能性       177~183
      馬居政幸 谷田川ルミ 西本裕輝 米津英郎 渡部和則
      桐谷正信 唐木清志 藤田由美子 遠藤宏美 角替弘規
   コラム91人1台配布PCタブレットの
                        呼び名の変遷から見えてきたこと
 
 184~190
  『小学校の教育観とこれからの小学校教育』研究報告№95 
                    中央教育研究所  2022年8月    

 

 

 

 

 

2024年10月14日

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