22教育社会学会74大会発表
「1人1台」」(PCタブレット≠端末)、
公立小学校の優位性と脆弱性
馬居は、日本教育社会学会第74回大会(2022年9月11日オンライン開催・日本女子大会 以下「22教社学会発表」と略す)において、武内清先生(敬愛大学客員教授・上智大学名誉教授)を中心に、西本裕輝先生(琉球大学教授)とともに、以下に示すテーマにより、下記共同研究者13名を代表し、調査研究の成果を発表しました。
★小学校教員の教育観と学校教育DXの課題
-小学校教員全国調査(2021)から-
〇武内清(敬愛大学) 〇西本裕輝(琉球大学) 〇馬居政幸(静岡大学(名))
新井郁男(上越教育大学(名)) 黄順姫(筑波大学) 腰越滋(東京学芸大学)
黒河内利臣(武蔵野大学(非))濱嶋幸司(函館大谷短期大学)
大島真夫(東京理科大学)佐野秀行(大阪人間科学大学)
谷田川ルミ(芝浦工業大学)山口泰史 (帝京大学)望月重信(明治学院大学(名))
上記青字テーマのワンクリックで発表要旨集原稿が表出します。そこに記載したように、次の3種のサブテーマにより発表を行いました。
武内 清 調査の概要、調査結果の概要
西本裕輝 デジタル化と沖縄の学力
馬居政幸 「1人1台」、公立小学校の優位性と脆弱性
さらに、馬居は学会発表時での質問や総括討論の場における論議を踏まえ、本研究発表の基礎データとなる全国調査(下記「1」スライド参照)の分析結果が示唆する課題と問題点への新たな観点からの再考察を行いました。その過程において、全国調査準備期に並行して実施した“1人1台PCタブレット配布”に伴う小学校の子どもたちや教員の間に生じた事象の聞き取り調査¹⁾と授業分析から得た知見・データ²⁾との対比による検証作業を試みました。
このような考察と検証の過程を重ねることで構築した新たな視座に基づき、「22教社学会発表時」に用いたPowerPointに大幅な加筆修正を施し、” 加筆版「1人1台」(PCタブレット≠端末)、公立小学校の優位性と脆弱性”(以下、「加筆版」と略す)を作成しました。そしてそのPDF版を下記「1」にストックしました。
「22教社学会発表」のテーマと同様に、青字表題ワンクリックによりPowerPointスライド42枚のPDF版が表出しますので確認ください。なお、42種のスライドの図表と考察文の理解の一助となることを願って、表題に続いて「加筆版」の構成(目次)を掲載します。※
加えて、メインとサブの共同発表テーマと活用データの出典等を記載したスライド№1(表紙)と「はじめに・本発表の目的」を記載したスライド№2のJPG版を貼り付けます。この二つもワンクリックで鮮明なスライドに拡大しますので一読ください。
※「加筆版」は発表テーマ(大見出し)のもとで5種の中見出し(節)と28種の小見出し(項目)によって構成されています。そのため、42枚のスライド個々の内容に即した構成を確認いただくために、小見出し(項目)を加筆した総合目次(Word版A4大一枚のPDF版一覧表)を、5種の中見出し(節)による構成(目次)に続く位置にストックしました。ワンクリックで開きますので、42枚のスライドの概要を眺めてみてください。
1.◆「1人1台」(PCタブレット≠端末)、
公立小学校の優位性と脆弱性
◆構成(目次)・・・末尾数値はスライドナンバー
◇はじめに・本発表の目的 ・・・2
1.「できること・事実認識」と「とても必要・評価 」のズレを問う・・・4
2. 教科等別14種の「活用しやすい」の割合から見えてくるのは ・・・12
3. 壁は日本の公立小学校教育の優位性 ・・・23
4. 日本の公立小学校教育の“優位性”が“脆弱性に ・・・28
5. 結語に代えて ・・・36
※総合目次(中・小見出し一覧)
表紙(スライド№1) はじめに・本発表の目的(スライド№2)
この「加筆版」スライド42枚に用いる図表と図表番号は、上記表紙に案内した公益財団法人中央教育研究所による研究報告№98『小学校教員の教育観とこれから校教育―デジタル化の流れの中で―』²⁾の第5章「1人1台」(PCタブレット≠端末)による~公立小学校の脆弱性の顕在化(馬居執筆 以下第5章と略す)からの転載です。考察結果をまとめた説明文も、文脈の重なりにしたがって第5章本文から転載し、新たな視座から加筆修正を行いました。この作業を行ったスライドには、第5章の該当頁数を付記しました。原文(第5章)に遡っての理解の一助となれば幸いです。
このような「加筆版」での表現と考察の淵源となる第5章をPDF版研究報告№98から取り出してストックしたのが下記「2」です(表題末尾の数字は研究報告№98掲載の頁数 以下同様)。「加筆版」と同様に青字表題をクリックして開いて下さい。また表題に続いて目次を掲載します。
上記「加筆版」は、実質的に下記第5章の加筆版でもあります。その加筆箇所に注目しながら読み比べてみてください。。
2.第5章「1人1台」(PCタブレット≠端末)による
公立小学校の脆弱性の顕在化(研究報告№98 54~67)
1. 分析の視点
2. 「できること」と「とても必要」のズレ
1) 本調査での問いの構成と意図の再確認
2)「できること」と「とても必要」のズレ(差異)
3. 学校教育DXに向かう課題は(その是非と可否を問うことから)
1) 教科等別の「活用しやすい」の割合から見えてくるのは
2) 14種の教科等のパワーバランス(小学校教員の判断基準)
3) 壁は日本の公立小学校教育の優位性
4) 結語に代えて
第5章と「加筆版」との構成上の違いを2点指摘しておきます。
その一つは、「1.分析の視点」の有無です。第5章では節(中見出し)を設けて調査研究の目的と方法を少し広い視座(関連する調査研究の成果も含めて)によって記述しました。他方、「加筆版」では上記スライド1枚(「はじめに・本発表の目的」)にまとめました。
その2つは、調査結果と考察の提示(展開)の仕方が異なることです。第5章は「分析の視点」を除くと、2種の節(中見出し)と5種の項(小見出し)によって表現しました。「加筆版」は、上記総合目次(中・小見出し一覧)に示すように、節(中見出し)は5種、項(小見出し)は28種です。第5章と「加筆版」、いずれも調査研究の成果を項に付した小見出しによって示すように努めました。その意味で、小見出しが5種から28種(「注記・参考文献」を除く)に増えたことに、加筆修正作業による調査研究の軌跡(1人1台によって顕在化した、公立小学校における日々再生産される現実の特性、課題、問題の広がりと深まりの言語化)を読み取っていただけることを願っています。特に、第5章の三つ目の節( 学校教育DXに向かう課題は~)の小見出4種が、「加筆版」では節3種、項16種に改編されることによる記述内容の差異を楽しんでみてください。
◇ ◇ ◇ ◇
「 第5章」から「加筆版」へと変化(進化!)する視座の延長線上において、新たに生成される知と情と意の多様性への好奇心を高めていただくために、研究報告№98に投稿した二つのコラムをストックします。その一つは、下記「3」として提示した研究仲間8名との共著「学校教育DXの課題と可能性」です。二つは、「4」としてストックした馬居の単著「1人1台配布PCタブレットの呼び名の変遷から見えてきたこと」です。
3.コラム「学校教育DXの課題と可能性」
研究報告№98 177~183
共著者9名の論考の表題と名称を掲載順に紹介します。
1.「1人1台PCタブレット」が拓く学校教育DXの課題と可能性
馬居政幸(静岡大学(名))
2.人1台端末導入の課題と可能 谷田川ルミ(芝浦工業大学)
3. 学校におけるデジタル化の課 西本裕輝(琉球大学)
4. 現場におけるPCの課題と可能性
米津英郎(富士宮市立黒田小学校)渡部和則(秋田市立八橋小学校)
5. 主語を「子ども」や「学び」に 桐谷正信(埼玉大学)
6. 子どもの学びの変容への探求を 唐木清志(筑波大学)
7. 教育DXの可能性:多様性を保障する学びへの転換
藤田由美子(福岡大学)
8. 「1人1台」が変革する学びとは 遠藤宏美(宮崎大学)
9. PCが外国ルーツの子どもの学びの問題を解決するために必要なこと
角替弘規(静岡県立大学)
共著者9名は、2022年6月28日に開催(オンライン)された日本子ども社会学会第28回全国大会において、「学校教育DXの課題と可能性─小学校教員のデジタル化に関する全国調査をてがかりに─」をテーマに実施したラウンドテーブルにて、次の役を担ったメンバーです。
司会(馬居)、提案者(矢田川、西本、米津、渡辺)、討論者(藤田、遠藤、角替)、ゲスト討論者(唐木、桐谷)
この8名とともに、馬居(司会・コーディネータ)の責任で提起したテーマを起点に、zoomを活用しての全体と個別の研究会を適時開催し、調査研究の共有化に努めました。その論議の過程で。次の二つの理由により、馬居から研究報告№98のコラムの執筆をお願いしました。
その一つは、ラウンドテーブルテーマの副題に「小学校教員のデジタル化に関する全国調査をてがかりに」とあるように、「22教社学会発表」と基礎データを共有することです。
その二つは、データへの関わり方が「22教社学会発表」とは異なることです。
ラウンドテーブルでは、提案と討論の場での個々の発言者の必要に応じて、調査結果を活用することを共有ルールにしました。馬居、西本、谷田川は調査実施メンバーですが、米津、渡辺、藤田、遠藤、角替、唐木、桐谷はそれぞれ独自の要望にしたがってデータを活用する立場です。何よりも、馬居も含めて9名それぞれ活躍する分野(職種・職階・専門・興味関心)が異なります。
その特性を生かし、調査実施メンバーとは異なる多様かつ多元的な視座からの思考による提案と討論の言葉を提起いただえることを期待し執筆をお願いしました。³⁾
その結果が上記表題一覧です。執筆依頼者として、またラウンドテーブルの提案者として、8名の共著者に心から感謝いたします。
他方、「4」にストックしたコラムの目的は、表題に直截かつ単刀直入に示しましたが、上記「加筆修正版」と第5章のテーマを構成する“「1人1台」(PCタブレット≠端末)”の「≠」に直結します。 子どもたち一人ひとりに手渡されたPCタブレットは、「端末」ではない(あってはならない)という馬居の願いから発した問いです。キーワードは「文房具」です。この言葉と『1人1台」がどのように結ぶか。その変異の過程と意味の変遷を文科省のウエブサイトの探索によって追い求める読み物です。気楽にクリックして謎解きに挑んでみてください。
4.コラム「1人1台配布PCタブレットの呼び名の
変遷から見えてきたこと」研究報告№68 184~189
謎解きのために文科省のウエブサイトから取り出した検索対象の公的答申等6種の表題を一覧できるようにしておきます。コラムでの謎解きの進行とともにストックされたURLを明記しますので、ダウンロードして、謎解きに活用してください。
➀「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」
2019(令和元)年6月25日
②-1「教育の情報化に関する手引 」 2019(令和元)年12月
②-2「教育の情報化に関する手引-追補版-」 2020(令和2)年6月
③「子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の
実現に向けて~令和時代のスタンダードとしての1人1台端末環境~」
≪文部科学大臣メッセージ≫ 2019年12月19日
④「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を
引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~」(答申)
2021(令和3)年1月26日
⑤「GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末の積極的な利活用等
について」(通知) 2021(令和3)年3月12日
⑥「GIGAスクール構想の下で整備された学校における1人1台端末等の
ICT環境の活用に関する方針について(通知)」2022(令和3)年3月12日
◆ 特 別 編 集 ◆
【研究報告 No.98】(公益財団法人 中央教育研究所)
「小学校教員の教育観とこれからの学校教育
─デジタル化の流れの中で─ 」
ここで改めて、本サイトで紹介してきた「加筆版」「第5章」「コラム2種」それぞれの出典である中央教育研究所による研究報告№98の全文を紹介します。
1)公益財団法人中央教育研究所にストックされた研究報告書№98
下記青字表題は中央教育研究所にストックされた研究報告№98が開くサイトです。クリックして研究報告№98の体裁、構成、本文全体を確認してください。
中央教育研究所 (chu-ken.jp) 研究報告№98
◆小学校の教育観とこれからの小学校教育
―デジタル化の流れの中で―
2022年8月30 日発行
2)研究報告№98構成する個別文書一覧サイト
研究報告№98を構成する16種の章の表題と担当された著者の紹介、9種のコラムの表題と投稿された著者の紹介、それに「はじめに」「目次」「あとがき」「資料編」を掲載順に記載します。
そして、中央教育研究者の許可を得て、それぞれ青字表題単位に参照できるように、本サイトにストックしました。興味関心に応じて一読いただけることを願って作成しました。
はじめに
【目次】
各章の概要(要約) 武内 清(上智大学名誉教授・敬愛大学客員教授)
第1章 本調査の目的、方法と回答者の特性 武内 清 浜島幸司(短期大学講師)
第2章 現代の子どもの特性〜2014年と2021年の比較〜 浜島幸司(短期大学講師)
第3章 小学校教員の教科書の使用状況 黒河内利臣(武蔵野大学非常勤講師)
第4章 小学校におけるデジタル化と学力 西本裕輝(琉球大学教授)
第5章 「 1人1台」(PCタブレット≠端末)による公立小学校の脆弱性の顕在化
馬居政幸(静岡大学名誉教授)
第6章 小学校における英語教育 伊藤静香(帝京平成大学准教授)
第7章 小学校教員が考える子どもの学力格差の発生時期・要因と対策
黄 順姫(筑波大学教授)
第8章 小学校教員は教育における格差をどう捉えているか
大島真夫(東京理科大学准教授)
第9章 学習環境の家庭間格差への認識と対処責任 山口泰史(帝京大学助教)
第10章 小学校教員の教育意識〜社会的弱者救済志向の変動に着目して〜
腰越 滋(東京学芸大学准教授)
第11章 小学校教員の新たな教育内容(多様性、地域連携、持続可能性)
への取組状況と多忙化 谷田川ルミ(芝浦工業大学教授)
第12章 小学校教員の教育改革についての賛否・受容の意見の分布
〜多重対応分析による検討〜 佐野秀行(大阪人間科学大学准教授)
第13章 小学校教員の「地域」との関わり
鈴木秀男(東京都台東区教育委員会生涯学習課(非常勤))
第14章 小学校教師の多忙感─「多忙である」教員の属性と仕事内容との関連
黒河内利臣(武蔵野大学非常勤講師)
第15章 「 宗教に関する一般的な教養」に関する小学校教師の見解と私見
新井郁男(星槎大学特任教授・上越教育大学名誉教授)
第16章 「 これからの小学校教育のあり方」に関する自由記述の分析と検討
─教師たちは、「働き方改革」に託して、「内的事項」の再構築に期待する─
「内的事項」の再構築に期待する─ 加藤幸次(上智大学名誉教授)
コラム
① 小学校教員の特質 武内 清(前掲)
② 教師は役職(校長、教頭、主任)によって、教育観がどのように違うか
武内 清(前掲)
③ 身体化された学歴意識と実践 No.98 167 黄 順姫 (筑波大学教授)
④ 「コロナ」の語られ方:教員の自由記述より 浜島幸司(短期大学講師)
⑤ ウイズ・コロナ時代の教育 武内 清 (前掲)
⑥ 教育の情報化に関するミニ・グロッサリー
望月重信(明治学院大学名誉教授)
⑦ 子どもたちに早期にタブレットを与えることの危険性
西本裕輝(琉球大学教授)
⑧ 学校教育DXの課題と可能性 (上記本文「3」参照)
馬居政幸(前掲)・谷田川ルミ(前掲)・西本裕輝(前掲)
米津英郎(富士宮市立黒田小学校)・渡部和則(秋田市立八橋小学校)
桐谷正信(埼玉大学)・唐木清志(筑波大学)
藤田由美子(福岡大学)・遠藤宏美(宮崎大学)
角替弘規(静岡県立大学)
⑨ 1人1台配布PCタブレットの呼び名の変遷から見えてきたこと
馬居政幸(上記本文「4」参照)
◇ ◇ ◇ ◇
注記
◇本発表に連動する調査研究として、馬居教育調査研究所:UER-Labo
https://www.uer-labo.jp/に設置した下記サイトを参照ください。
1)中研調査と並行して実施した聞き取り調査の記録です。
1-1) 学校教育デジタル化のリアルのために(その1)
https://www.uer-labo.jp/room/gakkou/gakkou05/2021/03/10/1677
1-2) 学校教育デジタル化のリアルのために(その2)
https://www.uer-labo.jp/room/gakkou/gakkou05/2021/05/13/2381
2)中研調査とは別に実施した共同研究(21年度教育社会学会研究発表)の調査研究記録と馬居が21年度より講師(非常勤)として担当することになった教職専門科目(静岡県県立大学総合的学習・探求教育法)実践記録のサイトです。
2-1) 共同研究「新型コロナ危機が顕在化させた人口減少下の公立学校の脆弱性
―教育事象における格差概念の再定位を視野に―」の理解と活用を願って
https://www.uer-labo.jp/room/gakkou/gakkou01/2020/10/19/1447
2-2) 2021年度静岡県立大学集中講義「総合的な学習・探求の時間」教育・指導法
のために https://www.uer-labo.jp/room/2021/12/18/2425
3)2022年度日本子ども社会学会第28回全国大会での共同研究発表とラウンドテーブルの準備段階から発表当日までの調査研その発表の記録をストックしたサイトです。
2022年度日本子ども社会学会第28回大会研究発表・ラウンドテーブル
(1)共同研究発表テーマ
小学校におけるデジタル化と学力
~小学校教員を対象とした全国調査に基づいて~
(2)ラウンドテーブルテーマ
「1人1台PCタブレット(端末)」が拓く 学校教育DⅩの課題と可能性
―小学校教員のデジタル化に関する全国調査をてがかりに―
https://www.uer-labo.jp/room/gakkou/gakkou05/2022/03/16/3733
2022年11月14日